2021(令和3年)10月1日付けで、京都府立医科大学産婦人科学教室(大学院医学研究科女性生涯医科学)第12代教授を拝命いたしました。本学の理念である「世界トップレベルの医学を地域へ」を実践できるように、全力で精進いたします。
産婦人科学は新しい生命の誕生の瞬間に立ち会える唯一無二の科であり、私たちも日々の診療の中で、感動や希望、感謝の心を学ばせていただいております。また産婦人科学は、分娩・出産を管理する「周産期医学」以外に、良性・悪性腫瘍を扱う「婦人科腫瘍学」、不妊症や不育症を治療する「生殖内分泌学」、思春期や更年期、老年期の問題などに取り組む「女性医学」の4分野に大別され、まさに女性の健康を生涯通してサポートする非常に幅広くかつ奥の深い学問です。その治療法もホルモン治療などの内科的治療と帝王切開や開腹手術、腹腔鏡下/ロボット支援下手術などの外科的治療と多岐にわたります。
京都府立医科大学産婦人科学教室は、1884(明治17)年に開講以来、130年を超える長い伝統を誇る診療科です。京都府を中心に滋賀県・大阪府・兵庫県に広がる関連医療施設で、これまで多くの優秀な産婦人科医を輩出し、地域医療の発展に大きく貢献してきました。
現在、教室のすべてのスタッフは産婦人科学4分野それぞれの専門医であり、関連科やメディカルスタッフと密に連携し、良質なチーム医療を実践しております。また個々が、臨床の現場で得られる困難・課題について、解決策を見出すべくその専門領域で臨床・基礎研究に取り組んでおり、多くの成果を国内外に向けて発信してきました。そのもとに、将来有望な人材が集っております。
医学の発展は日進月歩です。多くの情報がますます煩雑化するなかで、産婦人科学の奥行きと深さを先輩・同僚・後輩から体得する「学びの場」を整備することはきわめて重要と考えております。心を磨き、他のために尽くすことをそこで学んで欲しい。そして、自分で信頼できる情報を正しく取り込んで、患者がたとえ困難な事態に陥っても自ら解決できる気概を持つ医師を一人でも多く育成していきたいと思います。
そうした医師の育成こそが「世界トップレベルの医学を地域へ」理念実現への礎になると信じております。
みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
京都府立医科大学大学院医学研究科 女性生涯医科学 教授
森 泰輔